アサヒ死ンブン

死骸ブログ

【街コン敗戦記】神楽坂地獄変・冥府魔道を行くの巻

愛なんていらねえよ、夏

いよいよ本格的に夏めいてまいりましたこのごろ、みなさまにおかれましては、どうせルーザーさんのことだから毎日虫の如くみじめな生活をしているのだろうとお思いのことでしょう。ご明察!ナメクジのように干からびそうになっているよ。なにか活動せねばいかん。そう思って、むりやりブログを更新します。

なにかと風紀が乱れがちになるこの季節、恋に破れ愛に迷う一切衆生を救うべく、もう何年も前に行った街コンでの敗戦エピソードを書きます。ノー・モア・ルーザー、この記事を読んで、一人でも多くの迷えるヒツジさんが、質の悪い街コンでこころに傷を負わないことを願うばかりです。

 

もう何年も前の、その日。会社の先輩からお誘いいただき、巷に流行りの「街コン」なるものに生まれて初めて行ってきたのです。新緑まぶしい初夏の候でした。

みなさんも聞いたことくらいはあるでしょう、街コン。 主に「横浜コン」とか「新宿コン」とか地域ごとに開催される大規模な合コンイベントです。まぁテキトーなもんですよね、この名前の付け方は。去年ポケモンゴーが流行ったとき、ポケモンの巣(特定のポケモンの出現率があがるスポット)で街コンが催されたとかいうウワサも聞きました。僕はそのころポケモンゴーに少々のめりこんでおりまして、トレーナーレベルも平均よりぐぐっと上で図鑑もほとんど埋まっておりましたが、硬派なのでそんなイベントには見向きもしませんでした。ポケモンゴーは生命を削ってやるものだよ。軟派なイベントに堕ちるなどもってのほかだ。

閑話休題、街コンの基本ルールは、同性の二~三名一組で参加して制限時間内に開催地区の飲食店の飲み歩き食べ歩きをしながら出会いを求めるという形式で、仲良くなったらその後二次会でもセッ久でもご勝手にやってください、ってかんじです。だいたいどこでもこんなもんですよね?

街コンへなんて行くのはそのときが初めてだったから、それはそれは期待を致しました。高い参加費をむしり取られ、女の子と楽しくおしゃべりしつつの酒池肉林、メアド交換によりアドレス帳は豊潤に富み、おいおい、あわよくばその夜ワンチャンあるか……? 

さてその顛末たるや―――。 

総じていうと、今回行ったそれは主催者幹事たる人達の無能っぷりが目につく鼻につくばかりの会でした。海よりも深い心を持つあのルーザーさんがまじおこ、女の子の話より先に人の悪口を書くなんて、珍しいことです。

まずひどいのが、ホームページのご案内に記載されている受け付けの時間表記と、案内地図が間違っていたんです。ぜんっぜん違う場所をご案内しているんです。僕はほっとけばいいと思ってたんですけど、心の優しい先輩が幹事連にご指摘申し上げたところ、「実は今月から変更になったんです」「地図はSEがミスをしたようでごにょごにょ」などなど言い訳をはじめ、いやいや目で見てわかる確認が出来ていない時点でそれはおまえらのミスであって、SEのせいにしていいのはシステム的なバグが内在していたときにおいてのみだぜ、とツッコみたい気持ちは千万無量。この時知ったんだが、会場のお店は、神楽坂というおしゃれシティーにもかかわらず、雑魚みたいなチェーンの居酒屋なのだ。幹事の連中のやる気のなさがひしひしと伝わってきます。開始前からきなくさーいイヤな雰囲気が漂ってまいりました。

【ROUND①】

出鼻で不安を煽られましたが、しかし、気を取り直します。幹事がおっちょこちょいでも、僕がちゃっかり女の子と仲良くなれればそれでいいんです。こういう時に僕が巡り会わせる女の子は大概カワイイんですよ。運の無駄遣い「鬼引きルーザー」の豪運っぷりを見せてやりますよっと。

ほーら、ご案内頂いた部屋は… 
心なしか女の子が圧倒的に少ない気がするけれど…… 

ほらみろ!!
目の前の女の子がMちゃん*1にちょっぴり似ていてカワイイ、好みだ。開始時間を過ぎても特に幹事から指示もないのでみんなテキトーに飲み始める。あとから幹事のヒョロい奴が通らない声でなにか叫んでいたが全然聞こえなかった。
そうして僕のテーブルでも人生初街コン第一ラウンドの幕が切って落とされたわけです―――が、なんということでしょう。みんなのように楽しくおしゃべりできません。 

「どこに住んでるんですかー」

「お仕事なんですかー」

「何歳ですかー」

うう、そんな人間として当たり前の会話に入れないのです。大勢の飲み会のときに、興味のない話題でみんなが盛り上がり始めたらとたんに無口になっちゃうのは僕の悪い癖です。このときも僕はあんまりしゃべった記憶がありません。なにもしゃべれた気がしません。

 みんな「休みの日なにしてるんですか?」 

 ぼく「なにもしていないです…」 

だめですね。こんなやつが街コンでうまくいくわけがないのだ。

普通まともな街コンっていうのは、一定の時間がきたら幹事が参加者に店を移動するよう促してメンバーチェンジされるものらしいんです。席を廻して色んな人とおしゃべりする機会を与えてくれるものなんですね。けれど、このときは幹事の無能そうなヤツがときおり適宜お店移動してくださーいとか遠くで叫んでいるきり、ほかになにもありませんでした。別の店に移動すべきかどーなのか、先輩とテレパシーで相談しました。 

あ、先輩とは事前にサインを決めていたんです。 

「ちょっとこの面子は好みじゃないんで他へ行こう」「もっとマシな女の子を探しに行こう」なんて露骨に言ったら角が立つので、"天気の話題"の内容によってその場の押し引きを決めよう、と示し合わせたのです。これは阿佐田哲也の『麻雀放浪記』からヒントを得ました。

すなわち「今日は暑くてやってらんないですねー」みたいなネガティブなかんじのことを言ったら「これはイマイチや」という意思表示。逆に、「晴れて良かったですね!」というようなポジティブ系の内容ならば「このまま頑張ろう!」ということをお互い伝え合おうって相談していたのです。

 先輩「今日曇るんちゃうの?」 (訳:いまの目の前のコたち、微妙じゃね)

 ぼく「いや雨予報出てなかったっすよ」(訳:いや全然いけるジャン

正直いって僕は、Mちゃん(偽)に見とれてサインのことを半分忘れていた。僕はMちゃん(偽)とつまらん話がボソボソできればよかったし、暑いお外に出るのは気が滅入るなと思ったけれど、先輩がどうにもほかのお店にも行きたそうにしていたので、二回戦に期待して次のお店に移動しました。Mちゃん(偽)とはメアドを交換しなかった、交換しようって言えなかった、鳥肌*2ルーザー。

 

【ROUND②】 

すぐ近くの、二軒目に至る。「立食形式のお店」ていう時点で僕はいやな予感がひしひしとしていた。店に入ると目に付いた幹事らしき、顔がイチロー選手に似ている人が、特に案内をしてくれることもなくスマートホーンを触っている。パズドラでもやっていたのだろうか。待っても、わざとらしくキョロキョロしても、案内も、なにも、ない。わたしたち、居場所、ない。 

先輩と相談する。入店以来薄々感じていたけれど、ここダメじゃね?ぜんっぜんダメじゃね?お酒一杯分滞在したのち、一軒目のお店に戻りました。戦わずして負ける。塚原卜伝*3も腹を抱えて笑うよな。

この戦わずして負けた第2ラウンドは我々の被害妄想にすぎなかったのか?僕は"否"だと思うんです。この催しの参加者は、それとわかるように恥ずかしい蛍光色の紙わっかを巻かされていたんですね。一軒目のお店に戻る道端には、その紙わっかがいくつも無惨に引きちぎられ打ち捨てられていました。我々と同じように、女の子とサッパリ喋れなくて馬鹿馬鹿しくなって途中で帰っちゃった人々が少なからずいらっしゃったのだろう。正直我々も馬鹿馬鹿しくなっていたが、「不退転」の覚悟をもって臨んだ街コンなので、ここで帰るわけにはいかなかった。

 

【ROUND③】 

まだマシな一軒目に戻って仕切り直し―――が、女の子が来るのを待たされる。なんせ、女の子の数が圧倒的に少ないのだから。明らかな激おこぷんぷん顔で「平静を保とう」みたいな会話をしている他の参加者男さんたちと横目に見つつ、ピリピリした空気の中、待つ。 

正直もうダメじゃないかなー 

と思ってたら女の子きた!!三人きた!!真ン中のこけしみたいな女の子がちょっぴりカワイイ!!ぬるくなったお蕎麦を食べながら会話に突入だ!!
……しっかしまたみんな盛り上がっているなか僕だけ孤立していくんだな、なんせ話題がどこにお住まいだの、お仕事なにしてはるだの、何歳でっか、またこのループ、ループ、ループ。まぁ初対面だったらこんな話題になるのは当然かなぁ。僕はイヤになって黙々と唐揚げを食べていました。もう終わりのほう疲れ果てて俯いていました。想像できるでしょう。僕は愛想笑いなどできないのだ。

 

斯くして矢は尽き帰路につく。刀*4は抜いていない。この日のメアドゲット数、ゼロ。二次会、ねえよな。セッ……い行為なんて夢のカナタだったね。収穫は、Mちゃん(偽)とこけしとちょろっとおしゃべりしたこと、幹事の女の子の脇をガン見したこと、それだけだ。 

なお、幹事の無能なやつらはバッチリ参加者の女の子の連絡先をゲットしていやがりました。「いついつにバーベキューのイベントを企画してるんでー」みたいな口上で誘っていたが、明らかに女の子にしか声を掛けていない。あぁ、わかった。古来より、ギャンブルするより賭場を運営したほうが着実に益があるって言いますよね。まさにそれだった。ガチャに期待したのが馬鹿だった、参加者にガチャを引かせるのが儲けの常套手段だ。

後から知ったことによると、近年の街コンブームに乗っかって一儲けしてやろうと企む質の低い業者によって主催される街コンも増えているのだとか。そして、このときの主催者の評判がまさにそのテのものだったということ。

あと、ナンパ師たちは街コンの催される日時・場所を狙って、終わるころにそこの最寄り駅でナンパを試みるらしい。なるほど、こっちのほうが金もかからず合理的じゃないか。

なにもかも、負けて思い知った。若き日の痛い思い出です。

とはいえ、女の子と仲良くなるチャンスがゼロではなかったのだ。それをフイにしたことには変わりない。なにを書いても言い訳にしかならない。僕には主人公力が足りなかったようです。こののち数々の街コンや合コンに参戦していくのだが、都を落ちた平家のごとく負けに負けを重ね、やがて滅びを迎えることになる。風の前の塵に同じ。それらはまた、別の機会にお話しいたしましょう。南無。 

*1:僕が8年くらい前に片想いしていてフられた女の子

*2:チキン、臆病者のメタファー

*3:「戦わずして勝つのが無手勝流じゃガハハ」と言ったことで有名な剣豪

*4:隠語