アサヒ死ンブン

死骸ブログ

「サラリーマン川柳」に対抗して「キチガイ社畜短歌」10首

バカみたいな仕事でへとへとになった帰り道、インターネットでヌルいサラリーマン川柳を読んで対抗意識が芽生えました。サラリーマンってのはもっと殺伐としているべきなのだ。トンチをきかせていい気になってんじゃないよ。もっと本当の気持ちを、こころの奥底からの怨嗟の声をきかせてほしい。文学ってそういうものだろう?なかなか本心を言葉にできない社畜根性の鍛えられたみなさんの魁(サキガケ)となれれば幸いです。


どうしても残業代が出せぬなら
上司の命で払ってもらおう

 

明日から来なくていいよさようなら
いまだきかれぬ魔法の言葉

 

「どうやってお客様を説得するの?」
ナイフを喉につきつければ?????

 

徹夜明け行き交う人を殴りそう
わたしは歩く労働災害

 

「この仕事、任せた」と君が逝ったから
二月十日は社畜呪怨

 

もうだめだ、身体もこころも持ちません
地獄にお先に失礼します

 

おいお前社会をなめているのかと
怒鳴られ逆ギレ刺して血まみれ

 

この先の避難経路を押さえれば
有事に全員殺せるのだな

 

新品のピカピカ光るパソコンに
ゲロを吐いたら辞められるかな

 

憎らしい御社の最期を見届ける
死のキャリアパスを歩く毎日

 

いつの日か人工知能が人類を
滅ぼすときを夢見て就寝 

【読んだ本メモ】大槻ケンヂ『新興宗教オモイデ教』(角川文庫)

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丸尾末広の表紙イラストに惹かれて買いました。大槻ケンジには縁がなく、実はキンショーもろくに聴いていない。
クラスメイトの女の子に誘われて行った謎の宗教団体で、人を狂わせる謎の電波能力を使った能力者たちによる謎のバトルが繰り広げられ、主人公の少年にも謎の能力が目覚めていく青春モノ小説。なのだが、すっきり明るくスカッと爽快なわけでなく、こころのなかの溜まったもやもやをどう晴らそうかってのがテーマといえるんじゃないだろうか。
展開や構成的・伏線の回収具合のようなところで物足りないところがなくもないけど、著者あとがきで、筆が乗るにつれて「最初の構想と違ったものになっていって自分でもどう結末を迎えるかわからなくなっていった」というようなことを書いていて、キッチリ考えたとおりに型通りに進んでいたらこんなに面白くはならなかったんじゃないだろうか。一揆に読ませる勢いがあるのと、小ネタ、言葉の使いっぷりが面白い。能力が「誘流メグマ祈呪術」って名付けられてるんだけど、すごくないすかこのセンス。目次の章見出しを見てこれは絶対面白いはずだと思ったのだ。

【読んだ本メモ】高石宏輔『あなたは、なぜ、つながれないのか』(春秋社)

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人とコミュニケーションと取るに当たって、他者を理解するとはどういう状態なのかを丁寧に考えていく。人と会話をすることを不得手とする人がどうしてうまくいかないのか。マジメなカウンセリング技術的なこと一辺倒でなく、ナンパにおける声かけテクニックからのコミュニケーション話も出てきて面白い。
なかでも他者との「同調」が肝要だというのが実際的だと思った。相手との会話がどうなるか楽しみだなと思いながら向き合うことで、関係が自然と展開していく。
それは相手に合わせようという気持ちがあってこそのもので、そういう気持ち抜きで小手先のトーク技術だの雑談力だを高めようとしても、相手には本当に言いたいこと伝わらず相手からこころのうちをきけることもないことだろうな。

 

「同調」ってのはコミュニケーションにかぎらず、似たような感覚はなにごとにあるなって思う。文章を読むとき、本を読むときにも同じようなことを感じる。好きだった小説を読み返すときでも、入り込めないときは全然あたまに入ってこない。あれ?こんなつまんない話だっけ?って感じたときはもう読まないようにしている。
いつもカバンにジャンルの違う本を三冊くらい入れていて並行して読んでいるのだけど、これも気分によって読みたいものが変わるのでそれに合わせるようにしているのだ。仕事に疲れてひと息入れたいときはのんびり読める小説、仕事が順調に終わってもうひと踏ん張りする気合いが残ってるときは小難しい評論、とか。

まわりで会話している人たちがどの程度同調しているかを観察する。さらには自分と相手との同調度合いを客観視できるようになること。それが大切なんだな。
「心理学笑笑笑を駆使すれば相手の心理なんてわかりますよ、目を見れば相手の動揺っぷりもわかります」などと煽ってきた奴は、同調具合の測り方が上手くて相手との距離感を掴むのが得意だったというわけだな。遅れを取った僕は道化を演じたわけだ。なーんて恨みに思った出来事があったことを、思い出しました。「同調」これはキーワードとして覚えておこう。これを意識するだけでも、少しは人との対話の苦手意識が薄れるように思うのだ。

【読んだ本メモ】読書猿『問題解決大全』(フォレスト出版)

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あらゆる問題ごとを解決するにあたってのアプローチ方法がいろいろ解説されている。各手法について抽象化された説明とあわせて実例・サンプルケースが多彩に紹介されていて、自分の身の回りの問題に当てはめて考えてみやすい。評価やメリットデメリット・他の手法との関連を説明してくれるのもよい。仕事や勉強の効率化をはかるヒントにもなるであろうし、自分の内面的な悩みを整理することにも役立つことだろう。

 

仕事がうまく進まないのはどうしてかVS世の中がなんかむかつくのはどうしてか。といった、まったく性質の違う問題について、あえて「これは向いていないんじゃないか?」と思われる手法を用いてみて、問題を違う視点から捉え直してみるといいかもしれない。

読んでいると、このやり方は普段無意識的にやってるなとか、このやり方はどっかでみたことがあるなってものもあると思う。たとえば、ある問題と問題を抱いている自分を切り離して、問題を擬人化して対話する形のアプローチは精神医療の分野で使われていることがたしか『現代思想 2017年8月号』で紹介されていた気がする。

 

個人的に面白いと思ったのは、事実への認識の仕方・とらえ方を変えることを考えるリフレーミング。実際に厄介ごとに取り組んでるときってなかなか余裕がないものだけど、問題を違う視点から考えてみることは頭の片隅に入れておきたい。

↓前に読んだ同じ著者の前作『アイデア大全』
http://open.mixi.jp/user/4799115/diary/1960197521

【読んだ本メモ】姫乃たま『職業としての地下アイドル』(朝日新書)

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姫乃たまはカワイイなぁ!

 

 

僕が初めて地下アイドルなるものの存在を知ったのは何年前のことだったか、オーサカ・ニッポンバシのメード・キッサで仲良ピになったメードさんが地下アイドル的な活動もしていて、ライブがあるので来てくださいと宣伝していたのをきいてホイホイ行ってみたのだ。
たしか小さいライブハウスで、いったいなにをするのか、と思ったら、か、カラオケじゃねえのか……?
かと思いきや、オリジナル曲ぽいものをやる。いわゆるオタ芸というのを踊っている(?)人もいる。はー、これが地下アイドルの世界か。見ればふつうの女の子ぽいコばかりだけども、それぞれ工夫趣向創意を凝らしていて、各々に魅力があり、も、も、萌ッえーーー!!

 

自身も地下アイドルであり、そしてライター業で地下アイドルの世界を綴っている姫乃たまが、地下アイドルの世界の実態を綴っている本書。気になる地下アイドルの女の子たちの自己意識、なぜ地下アイドルをしているのか、将来について、応援するヲタクたちはどんな人たちなのか、本人の経験談も交えつつ丁寧にまとめている。
僕は地下アイドルのライブに一歩二歩程度踏み込んだ程度だけれども、こんな世界があるってことを少しでも知っていれば、この本に書いてあることはナルホドそうだよねそうだよね、と頷きながら読めることだろう。
アイドルときけばテレビに出る地上のアイドルしか知らない人が読んでも、そんな世界があり、成り立つのだということを多少の驚きも交えながら理解できることと思う。地下という言葉の響きからアングラな、ネガティブなイメージを抱きがちな向きがあるかもしれないけれど、地下アイドルの女の子やそのファンであるヲタクたちのアンケートを通して、両者のコミュニケーションの在り方が見えてくる。

なぜシロウトである地下アイドルにファンがつくのか。
著者かはそれを、日本人に「ヘタウマ」を愛でる文化、技術的に未熟であっても、逆にそこが個性となって魅力となり、応援するような文化があるからではないかと仮説を立てていく。普通の女の子がアイドルとして階段を上っていく成功ビジネスというか。そんな成功が滅多にあるものではないとしても、夢見たい気持ちもあればその夢を応援したい気持ちがわくことだってあるだろう。
この本に書いてあったことではないが、どっかでAKBの成功エピソードを忠臣蔵に比定して、日本人のメンタリティにウケたから売れたのだと論じているのものを読んだ気がするな。そんな著名な人が書いたわけじゃなかったけど、ナルホドとは思った。


戦前には「娘義太夫」というアイドル的な存在がいたそうで。その名の通り女の子が義太夫節を歌うんだが、技術的に下手でも顔や仕草がカワイイとかでファンがつく。
……って、これ、うろおぼえだけど京極夏彦の小説『書楼弔堂 破暁』にチラッと書いてたっけ??本が行方不明になって見当たらなくて確認できない……

 

そんなわけで、僕にも推しの地下アイドルがいて、彼女たちのツイキャツのトークを聴いては癒され、ライブで癒され、チェキを撮っては癒されているのです。萌え、萌え、萌え。

【読んだ本メモ】カール・マルクス『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日〔初版〕』(平凡社ライブラリー 植村邦彦訳 柄谷行人付論)

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有名な方のナポレオン(一世)の甥でしかなかった男ルイ・ボナパルトが、普通選挙の行われる共和制のもとでどのようにして皇帝ナポレオン三世になりあがったのかを分析している。
学生時代に世界史を履修していなかったので、正直内容については明瞭に理解できるといい難いんだよね。いやムリだよね。全然わからねえ。
タイトルで「ブリュメール18日」は、1799年に有名な方のナポレオン(ややこしいよな)が総裁政府を打倒してフランス革命を終わらせたクーデターのことを言っているんだな。
そんなタイトルからなんとなくわかるように、この作品のマルクスの文章はいろいろノッている。聖書や神話やなんかの引用、掛け言葉当てこすりを多用しているのだ。解説がないとよくわかんないけども。
ルイ・ボナパルトの政治体制をdisるだけの言説は当時もあったそうだが、マルクスのこの本ではなせルイ・ボナパルトが政治権力を得ることができたのかを分析するところまで踏み込んでいるところに大きな意義があるのだそうだ。
書き出しが有名で、とても面白い。これがどっかで引用されていたので読んでみようと思ったのだ。
ヘーゲルはどこかで、すべての偉大な世界史的事実と世界史的人物はいわば二度現れる、と述べている。彼はこう付け加えるのを忘れた。一度は偉大な悲劇として、もう一度はみじめな笑劇として、と」

 

正直内容は難しかったが、巻末の柄谷行人の付論が面白かった。
この本は、歴史の反復性を論じているものだ。
資本論』は絶え間ない差異化によって自己増殖しなければならない資本の反復強迫、それが不可避的にもたらす恐慌や景気循環を原理的に解明しようとしたもの。
貨幣に当たる場所、皇帝の座のようなものが反復的に求めらるような、「代表するもの」と「代表されるもの」の関係が恣意的であるがゆえに、代表するものを見捨ててボナパルトを選ぶということがありえた。のだとさ。
ファシズムやそのほか普通選挙制度が整った後でも権力の集中するような現象を読み解くうえでもこの本には意義があるのだろう。いつか再読するね。

【読んだ本メモ】高石宏輔『声をかける』(晶文社)

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ナンパヤローと、ナンパヤローに声をかけられて関係を持った女たちの多種多様な孤独が描かれた小説(なのかエッセイなのか)。
主人公はスカしたナンパヤローだと思えなくもないが、知らない人に声をかけようと思う心理ってどんなだろうなと想像するのは面白い。

最後の女の話だけはちょっと「声をかける」からは外れた展開になっていく感はあるけれど、声をかけることを課している男に興味を持った女の心理を描いているからまぁおかしくもないか。

男目線からも女目線からも話のネタになるポイントが多いので読書会向けの本かもしれないけど、僕はそんな明るい場で恋愛がらみの浮いた沈んだ話したくないので課題本になっても絶対行かないわ……

よくあるナンパブログも文章がうまくて面白いのもあるけど、多くはテクニック的なところがテーマの中心となっている(ような気がする)ので、これは似て非なる読み物だといてる。

孤独を埋めるために他人を求めるのか、自己満足のために求めるのか。
多くのナンパに興味ない人間からすれば勝手にすればいいだろうって思いつつたいへん嫌悪するような内容かもしれない。
とはいえ僕は「声をかける」ことが非常に苦手な人間なので、ナンパヤローだからといってバカにできたものではないのだ。ナンパどころか飲み会で初対面の女の子としゃべれないもんね。これはだめですね。致命的だ。どうすればもうちょいまともに人とコミュニケーションを取れるようになれるのだろうか……と思った時に、同じ著者の書いている別の本がヒントになりそうだったので買ってみた。読んだらそれはそれで、別に書く。