【読んだ本メモ】内田弘樹・EXCEL『枢軸の絆 Band of AXIS』(イカロス出版)
萌えミリタリー雑誌「MCあくしず」で長く連載していたコラムの加筆・単行本化したもの。単行本化する話は結構前からあってずっと楽しみにしていたところが発売予定はどんどん延期になって、あわやこのまま立ち消えになるのか……と危ぶんでいたのだけど、無事刊行されてよかった。
内容は、第二次世界大戦で枢軸国側で戦った日独伊以外のマイナーに国家・武装組織を解説しているもの。イラストが萌え系だが内容がっつりなので近現代史好きな人にはオススメしたいですね。イラストが萌え系とはいえ小ネタが満載でとても好き。ほんと酷い(褒め言葉ね)のもある。
日本にあまり所縁のない国にもそれぞれに過酷な歴史があったんだな……てのがよくわかる。
連合国側にもファシズム政党が興って枢軸国側で戦っていたり。スイスが「永世中立国」となった血みどろの経緯。1990年代にまたゴタゴタしだすユーゴスラヴィアの報復の積み重ね恨み。イギリス自由軍団みたいなほんとギャグでしょ…みたいなの。第二次大戦のバルト三国がどこも悲惨すぎてクソワロえねえ、戦後もずっと尾を引いて…
ソビエトとナチスドイツの間にある国みんな大変すぎなんだよなぁ、キチガイとキチガイに挟まれて……
ヨーロッパ・ロシア編の国々は日本とあまり接点のない国が多く、初めて触れる内容が多い。一方でアジア編、満洲国・南京政府・ビルマ・タイ・インドネシア・インドは日本の歴史とも大きく関わるところなので、知っている知識とリンクさせることのできる部分が多い。そういう歴史話がすすっと学べていい本だ。とは言え各国々の解説に割かれているページ数は多くはないので、興味がわいた国の近現代史はもっと深く勉強してみるのがいいのだろうな。たとえば、タイの項目でさらっと名前が出てきた海防戦艦「トンブリ」は日本で建造されたとか、MCあくしずで読んだ。面白いネタはあるはず。トンブリの砲塔や艦橋構造物は現存しているようなので、それを見るためにタイに行きタイ!