アサヒ死ンブン

死骸ブログ

【読んだ本メモ】大槻ケンヂ『新興宗教オモイデ教』(角川文庫)

f:id:the_midnight_loser:20180211002443j:image

丸尾末広の表紙イラストに惹かれて買いました。大槻ケンジには縁がなく、実はキンショーもろくに聴いていない。
クラスメイトの女の子に誘われて行った謎の宗教団体で、人を狂わせる謎の電波能力を使った能力者たちによる謎のバトルが繰り広げられ、主人公の少年にも謎の能力が目覚めていく青春モノ小説。なのだが、すっきり明るくスカッと爽快なわけでなく、こころのなかの溜まったもやもやをどう晴らそうかってのがテーマといえるんじゃないだろうか。
展開や構成的・伏線の回収具合のようなところで物足りないところがなくもないけど、著者あとがきで、筆が乗るにつれて「最初の構想と違ったものになっていって自分でもどう結末を迎えるかわからなくなっていった」というようなことを書いていて、キッチリ考えたとおりに型通りに進んでいたらこんなに面白くはならなかったんじゃないだろうか。一揆に読ませる勢いがあるのと、小ネタ、言葉の使いっぷりが面白い。能力が「誘流メグマ祈呪術」って名付けられてるんだけど、すごくないすかこのセンス。目次の章見出しを見てこれは絶対面白いはずだと思ったのだ。