アサヒ死ンブン

死骸ブログ

【読んだ本メモ】高石宏輔『あなたは、なぜ、つながれないのか』(春秋社)

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人とコミュニケーションと取るに当たって、他者を理解するとはどういう状態なのかを丁寧に考えていく。人と会話をすることを不得手とする人がどうしてうまくいかないのか。マジメなカウンセリング技術的なこと一辺倒でなく、ナンパにおける声かけテクニックからのコミュニケーション話も出てきて面白い。
なかでも他者との「同調」が肝要だというのが実際的だと思った。相手との会話がどうなるか楽しみだなと思いながら向き合うことで、関係が自然と展開していく。
それは相手に合わせようという気持ちがあってこそのもので、そういう気持ち抜きで小手先のトーク技術だの雑談力だを高めようとしても、相手には本当に言いたいこと伝わらず相手からこころのうちをきけることもないことだろうな。

 

「同調」ってのはコミュニケーションにかぎらず、似たような感覚はなにごとにあるなって思う。文章を読むとき、本を読むときにも同じようなことを感じる。好きだった小説を読み返すときでも、入り込めないときは全然あたまに入ってこない。あれ?こんなつまんない話だっけ?って感じたときはもう読まないようにしている。
いつもカバンにジャンルの違う本を三冊くらい入れていて並行して読んでいるのだけど、これも気分によって読みたいものが変わるのでそれに合わせるようにしているのだ。仕事に疲れてひと息入れたいときはのんびり読める小説、仕事が順調に終わってもうひと踏ん張りする気合いが残ってるときは小難しい評論、とか。

まわりで会話している人たちがどの程度同調しているかを観察する。さらには自分と相手との同調度合いを客観視できるようになること。それが大切なんだな。
「心理学笑笑笑を駆使すれば相手の心理なんてわかりますよ、目を見れば相手の動揺っぷりもわかります」などと煽ってきた奴は、同調具合の測り方が上手くて相手との距離感を掴むのが得意だったというわけだな。遅れを取った僕は道化を演じたわけだ。なーんて恨みに思った出来事があったことを、思い出しました。「同調」これはキーワードとして覚えておこう。これを意識するだけでも、少しは人との対話の苦手意識が薄れるように思うのだ。