アサヒ死ンブン

死骸ブログ

【読んだ本メモ】姫乃たま『職業としての地下アイドル』(朝日新書)

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姫乃たまはカワイイなぁ!

 

 

僕が初めて地下アイドルなるものの存在を知ったのは何年前のことだったか、オーサカ・ニッポンバシのメード・キッサで仲良ピになったメードさんが地下アイドル的な活動もしていて、ライブがあるので来てくださいと宣伝していたのをきいてホイホイ行ってみたのだ。
たしか小さいライブハウスで、いったいなにをするのか、と思ったら、か、カラオケじゃねえのか……?
かと思いきや、オリジナル曲ぽいものをやる。いわゆるオタ芸というのを踊っている(?)人もいる。はー、これが地下アイドルの世界か。見ればふつうの女の子ぽいコばかりだけども、それぞれ工夫趣向創意を凝らしていて、各々に魅力があり、も、も、萌ッえーーー!!

 

自身も地下アイドルであり、そしてライター業で地下アイドルの世界を綴っている姫乃たまが、地下アイドルの世界の実態を綴っている本書。気になる地下アイドルの女の子たちの自己意識、なぜ地下アイドルをしているのか、将来について、応援するヲタクたちはどんな人たちなのか、本人の経験談も交えつつ丁寧にまとめている。
僕は地下アイドルのライブに一歩二歩程度踏み込んだ程度だけれども、こんな世界があるってことを少しでも知っていれば、この本に書いてあることはナルホドそうだよねそうだよね、と頷きながら読めることだろう。
アイドルときけばテレビに出る地上のアイドルしか知らない人が読んでも、そんな世界があり、成り立つのだということを多少の驚きも交えながら理解できることと思う。地下という言葉の響きからアングラな、ネガティブなイメージを抱きがちな向きがあるかもしれないけれど、地下アイドルの女の子やそのファンであるヲタクたちのアンケートを通して、両者のコミュニケーションの在り方が見えてくる。

なぜシロウトである地下アイドルにファンがつくのか。
著者かはそれを、日本人に「ヘタウマ」を愛でる文化、技術的に未熟であっても、逆にそこが個性となって魅力となり、応援するような文化があるからではないかと仮説を立てていく。普通の女の子がアイドルとして階段を上っていく成功ビジネスというか。そんな成功が滅多にあるものではないとしても、夢見たい気持ちもあればその夢を応援したい気持ちがわくことだってあるだろう。
この本に書いてあったことではないが、どっかでAKBの成功エピソードを忠臣蔵に比定して、日本人のメンタリティにウケたから売れたのだと論じているのものを読んだ気がするな。そんな著名な人が書いたわけじゃなかったけど、ナルホドとは思った。


戦前には「娘義太夫」というアイドル的な存在がいたそうで。その名の通り女の子が義太夫節を歌うんだが、技術的に下手でも顔や仕草がカワイイとかでファンがつく。
……って、これ、うろおぼえだけど京極夏彦の小説『書楼弔堂 破暁』にチラッと書いてたっけ??本が行方不明になって見当たらなくて確認できない……

 

そんなわけで、僕にも推しの地下アイドルがいて、彼女たちのツイキャツのトークを聴いては癒され、ライブで癒され、チェキを撮っては癒されているのです。萌え、萌え、萌え。